この事例のポイント
- AMG G63の本革シートに対する施工を、状態確認・下地クリーニング・塗布・乾燥・仕上がり確認の順に写真で追った事例です
- 各工程で何を見ているのかを言葉にしています。とくに塗る前の下地づくりが、そのあとの仕上がりの均一さにつながります
- オーナー様からいただいた「内装の美しさを長期間維持したい」というご要望に対し、今回はシートの保護として対応しました
工程1:まずシートの状態を見ます
作業の最初は、洗うことでも塗ることでもなく、見ることです。同じ車種でも乗り方によってシートの状態は変わりますので、どこに何が出ているのかを確認しないまま手を動かすことはできません。この日のAMG G63は、日常的に使われてきたお車で、シートには使用にともなう軽い汚れと擦れが見られる状態でした。
見るときは、座って目に入る面だけでなく、光の角度を変えながら確認します。正面から見ると気づかない擦れが、斜めから光を当てると表面の艶の違いとして浮かんでくることがあります。逆に、真上から見たときにだけ分かる汚れもあります。角度をひとつに決めてしまうと見落としが出るため、位置を変えながら全体をたどっていきます。
この記事で扱うのはシートの保護に限った内容です。作業範囲もシートで、確認する対象もシートの表面です。
運転席まわりは使われ方が違います
同じ車内でも、運転席は乗り降りのたびに人が触れる場所です。今回のお車も、運転席周辺は使用頻度が高く、そのぶん摩耗の出やすい状態でした。状態確認の段階でここを把握しておくと、あとの工程で力の入れ方や進める順番を判断しやすくなります。
確認した内容は、そのままお客様にお伝えします。どこがどうなっているかを共有したうえで作業に入るほうが、仕上がりを一緒に確認するときにも話がそろいます。
この段階で決めておくこと
何をどこまで行うかは、見た結果から決めます。シートの素材、汚れの出方、擦れの位置。これらを踏まえて使用する専用剤を選び、進める順番を組みます。先に手順を固定してから車を見るのではなく、車を見てから手順を決める、という順番です。

Starex について(公式情報)
耐久性については、Starex公式情報によれば、専門機関の摩擦テスト(1万回以上)で『1日10回の乗り降りで約3年間相当』という結果が示されています。また、Starex公式情報によれば、『こども玩具用 食品分析検査基準』をクリアした水性・低臭の処方です。
水性と油性の違いは水性コーティングと油性コーティングの違い、軽自動車のシート保護は軽自動車のシート保護ガイド、資産として維持する観点は資産価値と内装ケアで整理しています。
工程2:塗る前に落とす、下地クリーニング
状態を確認したら、次は下地づくりです。Starex専用クリーナーを使い、シート表面の汚れや油分を落としていきます。順番として塗布より先に来るのは、汚れが残った上から塗っても、コーティング剤が触れているのが素材ではなく汚れになってしまうためです。
ここは工程のなかでも時間をかける部分です。表面の広い面だけでなく、縫い目の脇や座面のくぼみ、背もたれとの合わせ目のように、日常の清掃では手が入りにくい場所を含めて進めます。こうした場所は汚れが集まりやすい一方で、外から見えにくいため、仕上げの段階になってから気づいても戻りにくくなります。
落とす作業と塗る作業は別のものですが、結果としては続いています。下地が均一に整っているほど、そのあとの塗布もそろいやすくなります。
なぜこの工程を先に済ませるのか
コーティング剤は塗った場所の状態をそのまま引き受けます。皮脂や油分が部分的に残っていると、その部分と落ちている部分で剤の乗り方が変わり、乾いたあとにムラとして残ることがあります。塗ってから直そうとすると、いったん落として塗り直すことになりますので、先に整えておく順番にしています。
見た目がきれいなシートでも、この工程を省くことはしません。日常的に触れる場所には、目に見えない油分が薄く残っていることがあります。
落とすことと削ることは違います
汚れを取るために表面を強くこすれば、素材そのものを傷めることになります。ここで目指すのは、表面に乗っているものを取り除くところまでで、素材を変えることではありません。専用のクリーナーを使うのは、必要な範囲にとどめるためでもあります。

工程3:コーティング剤を塗る
下地が整ったら、シートの素材に合わせて選んだStarexの専用剤を塗布します。今回のAMG G63は本革のシートですので、レザー用の専用剤を使いました。塗布は広い面から細部へと進め、塗り重ねの境目が残らないように面をつないでいきます。
Starex水性シートコーティングは水性の処方です。車内という閉じた空間での作業になりますので、施工中の臭いが少ないことは、作業する側にとっても、そのあと乗るお客様にとっても意味があります。
被膜は透明で、素材本来の質感や色味の見え方を変えないことを狙っています。革の表面には細かなシワや目があり、そこを埋めてしまうと質感が変わってしまいますので、厚く盛るのではなく、均一に行き渡らせることを優先します。
均一さが工程の目的です
塗布で気をつけるのは、たくさん塗ることではなく、どこも同じように塗ることです。ムラは乾いてから見えてきます。塗っている最中は濡れているため差が分かりにくく、乾いた段階で艶の違いとして出てきますので、塗る時点で面をそろえておく必要があります。
そのために、進める方向を決めて順にたどります。あちこちに戻りながら塗ると、重なった場所と薄い場所が混ざります。
端や縫い目のまわりの扱い
シートは平らな板ではありません。角があり、縫い目があり、面の向きが変わる場所があります。こうした部分は塗り残しやすく、同時に剤がたまりやすい場所でもあります。広い面と同じ調子で進めるのではなく、量を控えながら行き渡らせていきます。
工程としては地味な部分ですが、仕上がりを離れて見たときの印象に関わってくるところです。

工程4:乾燥させる、触らずに置く
塗り終わったら乾燥の工程に入ります。作業としては何もしていないように見えますが、ここを飛ばすことはできません。塗った剤が落ち着くまでの間に触れると、その部分だけ状態が変わってしまい、あとから均一に戻すのが難しくなります。
乾燥のあいだに確認するのは、シートの向きや車内の状態です。ドアを開け閉めするたびに空気が動きますので、必要のない出入りは控えます。この工程での判断は、何かをすることではなく、何もしない状態を保つことになります。
乾燥の目安は、シートの状態や作業した内容によって変わります。お引き渡しの際に、そのお車についての目安を個別にお伝えしています。
待つことも工程のひとつです
施工の説明では、塗るところが中心になりがちです。ただ、塗ったあとにどう置いておくかは、塗り方と同じくらい結果に関わります。急いで次に進めれば、そのぶんが仕上がりに出ます。
この工程があるという前提でお預かりの日程を組んでいますので、当日の流れについては事前にご相談ください。

工程5:仕上がりを確認して終える
最後に、全体の仕上がりを確認します。ここで見るのは、塗った直後に見ていたものとは違います。乾いた状態で、光の角度を変えながら艶がそろっているかを見て、手で触って感触を確かめます。塗る前に確認した箇所を、もう一度同じ順番でたどっていくかたちです。
確認の結果、気になる部分があればその場で整えます。工程の最後にこの段階を置いているのは、途中の判断が正しかったかを見るためでもあります。塗るところまでで終わりにすると、確認する機会がなくなってしまいます。
今回のAMG G63は、革の質感を保ったまま自然な状態に仕上がりました。オーナー様からは「内装の美しさを長期間維持したい」というご要望をいただいており、今回はシートの保護という形で対応しています。
この施工が狙っていること
シートコーティングは、汚れや飲み物などが表面に触れたときに染み込みにくくなることを狙った施工です。汚れが一切つかなくなるというものではなく、日常のお手入れで対応できる範囲を広げておく、という考え方になります。
同じように、擦れや色の変化についても、素材がそのまま外に触れている状態と、上に膜がある状態では条件が変わります。膜のほうが先に受けるという考え方で、シートそのものへの負担を減らすことを目指した施工です。
お引き渡しのときにお伝えすること
施工後のお手入れの仕方と、避けていただきたい扱いについてご説明します。工程を見ていただいた方には、なぜその扱いをお願いするのかも伝わりやすくなります。作業の内容が分かっていると、そのあとの付き合い方も変わってきます。

よくある質問
Q. 施工前に、自分でシートを掃除しておいたほうがよいですか。
A. そのままお持ちください。作業の流れとして、こちらで下地のクリーニングから始めます。むしろ状態をそのまま見せていただいたほうが、どこにどんな汚れや擦れが出ているのかを確認しやすく、そのあとの進め方を決めるうえで役に立ちます。
Q. 下地のクリーニングだけをお願いすることもできますか。
A. ご相談いただければ内容をお聞きします。ただ、下地クリーニングはコーティング剤を均一に行き渡らせるための準備として組んでいる工程ですので、そこで止めた場合は保護の膜がない状態になります。何を目的とされているかをお聞きしたうえで、ご案内します。
Q. 作業はどれくらいお預かりになりますか。
A. シートの状態や作業する範囲によって変わりますので、実際に拝見したうえでお伝えしています。乾燥の工程を含んだ日程になりますので、お車を使われる予定と合わせてご相談ください。
Q. 工程を見せてもらうことはできますか。
A. 作業の状況によりますので、事前にご相談ください。作業中の車内は剤を扱っている状態ですので、そのまま立ち入っていただくことは難しい場合があります。施工前と施工後の状態については、確認したところをご説明しています。
Q. 施工のあと、日常のお手入れはどうすればよいですか。
A. お引き渡しの際に、お車ごとの扱い方をご説明します。基本的には、汚れがついたときに早めに取り除いていただく形になります。強くこする扱いは、膜にも素材にも負担になりますので避けてください。
シートの状態を見てから、進め方をご提案します
車のお手入れ専門店 エコスタイル熊本(熊本県)
AMG G63のような車のシート保護について、どの工程が必要かは実際の状態を見てから判断します。まずは現状をお聞かせください。
※ 掲載しているのは実際の施工事例です。施工の可否・範囲・所要時間・料金は、車種と素材の状態、および施工店によって異なります。詳細は施工店へお問い合わせください。

