ランボルギーニ・ウルス 白統一仕様 内外装コーティング施工事例(ダカーポ)


白で外装・内装を統一したランボルギーニ・ウルス。オーナー様は「コーティング技術が前提でこの色を選んだ」と明確な意図をお持ちでした。高発色ホワイトは“黄ばみ・黒ずみ・鉄粉シミ・樹脂くすみ”が視覚的に即座に露出しやすく、初期戦略が寿命を左右します。今回ダカーポでは、操作頻度の高いピアノブラック部やスイッチ周り・ステアリングにはワンラップコート、広範な白地面にはスタレックスシステムを組み合わせ、質感を変えずに耐汚性と再現性を最大化しました。以下、プロセスと判断基準を公開します。
プロジェクト設計とリスク分析 ・白統一車両特有の課題一覧
- 外装: ブレーキダスト由来の微粒子鉄粉がホイール/サイドシルに茶色スポット化
- 内装: デニムインディゴ移染、日光+皮脂酸化による黄変、指紋映り(ピアノブラック)
- 隙間: スイッチ周囲の皮脂+埃凝集 → 灰色線状汚れ
・目的再定義: “艶を増やす”より “白の清潔感コントラストを長く初期値に近く保つ”
・計測基準サンプル: 初期外装白パネル Lab* 測色 → ΔE 1.0以内維持を目標(半年点検)
使い分け戦略(ワンラップコート vs スタレックス)
ワンラップコート適用部位

- ピアノブラック加飾、センターコンソールスイッチ、ステアリングスポーク、ドアスイッチパネル
理由: 指触頻度が高く、滑走抵抗と静電吸着低減、微細拭き傷(円弧状ヘアライン)抑制。
H3: スタレックス適用部位 - 白レザーパネル、シートサイド、ドアトリム白地、ラゲッジ内張り、外装(ボディ/ホイール/ドアインナーエッジ)
理由: 多層シリカ+撥油/撥水ハイブリッドで皮脂+油性染料の定着を遅らせ、洗浄回数を合理化。
相互作用最適化
境界(ピアノブラック→白レザー)では重層界面を5mm重ねず、マスキングラインを段差0.1mm以下で管理し光反射差を回避。
下地処理工程(要約)
1) プレウォッシュ & 鉄粉ケミカル
pH中性→中性鉄粉反応剤 → 低圧リンス。外装白の“うっすら灰色ヴェール”を可視化除去。
2) 手洗い / クロス選別
外装: シャンプーは界面活性剤残留を抑える高分散タイプ。内装: 白レザーはpH5.5〜6.0レンジクリーナー。
3) 内装レザー脱脂調整
過脱脂回避のため領域を30cmスクエアで区切り、UVライトで表面油膜ムラ観察。
4) ピアノブラック微細傷評価
斜光20°/60°でグロスメーター(60°光沢値)測定 → 初期値 88GU → マイクロポリッシュ後 91GU(過研磨抑制指標)
コーティング塗布ディテール
ワンラップコート塗布
- 極薄被膜(数百nmレンジ)狙い、スイッチエッジは角丸方向へ一方向拭き。
- 触感評価: 指先摩擦係数(簡易)を未施工0.57→施工後0.49へ低下(滑り過ぎない領域)。
白統一を長期維持するための色差管理
・早期黄変リスクゾーン: シートサイド(乗降摩擦+デニム接触) / ステアリング12時位置 / ドアグリップ裏
・ 局所再生処理プロトコル(例): 軽度色移り→中性→低刺激溶剤スポット→再トップアップ
外装・内装“白の連続性”演出要点
・ドアを開いた瞬間の視線動線: ホイール内リム白の清潔さ→サイドシル→内装白レザーへ連続反射
・ ホイール裏面までの防汚により、スポーク開口部から見える暗化領域を最小化し“白の塊感”を演出
・ 影色(シャドーグレー)への転調を抑え、写真撮影時のホワイトバランス補正幅を縮小
オーナー様向けメンテナンスガイド
乗車前
・ デニム/濃色衣料が新しめ(染料未定着)の日は白レザーに直接圧をかけない座り方を意識
週次 ・ 内装白部: 静電ブラシ→微量ミスト→超極細クロス一方向拭き(円運動NGで曇り防止)
月次 ・ ホイール内側リンス+鉄粉軽反応剤(必要時のみ)。過頻度反応剤使用はトップ層寿命を縮めるため月1〜2回以内。
汚染発生時 ・ 色移り初期(24h以内)は擦り込み厳禁 → 吸い取り→局所クリーナー→乾燥→必要でスタレックス部位再補充
禁止事項 ・ メラミンスポンジ / 強アルカリ / シリコーン過多艶出し剤 / 不明成分DIYコート重ね
推奨点検 ・ 3ヶ月: 撥油性低下点観察
・ 6ヶ月: ΔE測定 / 接触角再評価 / 必要箇所ピンポイント補強
・ 12ヶ月: 全面状態レビュー+次年度プラン
導入メリット(要約)
・ 白特有の黒ずみ・鉄粉・色移りの早期検知と軽作業除去
・ ピアノブラックの拭き傷発生率低減(拭き筋光散乱抑制)
・ 再販・買取査定時の“トーン一貫性”評価向上
・ 清掃工数(内装日常ケア)削減 / ケミカル使用回数最適化
・ オーナー意図“白を選び切る”美学の継続再現
FAQ
Q1: なぜピアノブラックと白地でコーティング剤を分ける必要がある?
A1: 指触頻度と反射特性が異なり、滑走感・静電・拭き傷耐性を最適化する配合差が要求されるためです。単一剤で統一すると一部部位で過艶・過滑または耐汚不足が起こりやすくなります。
Q2: 白レザー黄ばみは完全防止できる?
A2: “完全”ではなく“進行を遅らせ、除去可能な薄層に留める”が現実的戦略。皮脂酸化前段階で除去できる離型性を確保しています。
Q3: 再施工の目安は?
A3: 日常使用(週末+平日一部)なら全面は12〜18ヶ月、タッチ集中部位は半年で効果再評価。
Q4: コーティング後に市販簡易スプレーを重ねても良い?
A4: 成分未判明品は界面エネルギーを乱しムラ艶の原因。必要なら事前に成分を共有ください。
Q5: 施工後すぐ雨天走行は問題?
A5: 外装は初期硬化4時間以降の軽微な水滴なら概ね許容。理想は24時間の完全硬化まで屋内保管。
オーナー様へ
白で外と内を統一したウルスは、他色より“微汚染=質感低下”が速く視覚認識されます。だからこそ初期段階で部位別コーティング戦略を敷き、剥き出しの美しさを長く再現可能な管理サイクルへ移行することが重要です。ダカーポではワンラップコートとスタレックスの特性を図面化し、境界処理・測色管理で“白の連続性”を守る施工を実施。ホワイト特注を前提にされたオーナー様の意図を、日々の容易なケアへ変換しました。長期プランや他車種展開もお気軽にご相談ください。







