この事例のポイント
- 後席の背もたれは、前から見れば人が背中を預ける面で、後ろから見れば荷物が最初に当たる面という二役を持っています
- 荷室と後席がつながっている車内では、荷物が越えてくる側の面まで含めて保護の範囲を考えます
- 着座位置が高いSUVでは乗り降りのたびに体がサイド側をなぞるため、座面の中央だけを見ていると判断を外します
後席は人の席で、同時に荷物の通り道でもあります
今回お預かりしたのはポルシェ マカンです。シートには日常使用による汚れが出ていて、レザーシートの保護をご依頼いただきました。作業に入る前に確認したのは、このお車の後ろ半分が、どういう使われ方をする空間なのかという点です。
SUVの車内は、後席と荷室が背もたれ一枚で隣り合っています。仕切りらしい仕切りがなく、天井までひと続きの空間です。つまり後席のシートは、前から見れば人が背中を預ける面であり、後ろから見れば荷物が最初に当たる面でもあります。同じ一枚が二つの役目を持っている、という言い方ができます。
この構造は使い勝手としては便利なところで、荷物を積みやすく、長いものも積める理由になっています。一方でシートの状態という視点から見ると、人の手や衣類が触れる面と、荷物の角や底面が触れる面が重なるということでもあります。前席だけを見て「座面の中央が使われる」と考えていると、後ろ側で起きていることを見落とします。
もう一つ押さえておきたいのは、後席が「毎日使う席」ではない場合があるという点です。人が乗る日と、荷物だけを載せる日が混ざります。使われ方が一定でないぶん、状態の変化に気づくきっかけも不規則になります。前席のように毎日目に入る場所ではないため、確認のタイミングを意識して作るほうが現実的です。
そこで今回は、後席と荷室まわりを一つの区画として見たうえで、どこにどう保護をかけるかを組み立てました。
Starex について(公式情報)
耐久性については、Starex公式情報によれば、専門機関の摩擦テスト(1万回以上)で『1日10回の乗り降りで約3年間相当』という結果が示されています。また、Starex公式情報によれば、『こども玩具用 食品分析検査基準』をクリアした水性・低臭の処方です。
水性と油性の違いは水性コーティングと油性コーティングの違い、軽自動車のシート保護は軽自動車のシート保護ガイド、資産として維持する観点は資産価値と内装ケアで整理しています。
荷室から後席へ、荷物が越えてくる側の面
荷室に積んだものは、走っている間ずっと同じ位置にいるわけではありません。信号で止まるとき、曲がるとき、荷物は少しずつ動きます。行き着く先は前方、つまり後席の背もたれの裏側です。硬いケースの角や、袋の底、工具や器具の金具といったものが、そこに当たります。
背もたれの裏側は、乗っている人の目にはほとんど入りません。後席に人が座ればなおさら見えません。汚れやスレに気づくのは、大きな荷物を降ろしたときや、シートを倒したときになります。気づいた時点で、すでにしばらく前から始まっていたということが起こりやすい場所です。
背もたれを前に倒して荷室を広げる使い方をすると、この関係はさらに直接的になります。倒した状態では、それまで背中を預けていた面が上を向き、そのまま荷物を載せる台になります。人が触れていた面と荷物が載る面が、文字通り同じ面になるわけです。
見ておく場所を先に決めておく
そのため作業前の確認では、座面の表側だけでなく、背もたれの裏側、背もたれと座面の合わせ目、荷室に近い側の縁まで順に見ていきます。ここを見ずに始めると、いちばん当たっている面を素通りして仕上げることになります。
確認した内容はお客様にもお伝えしたうえで、どこまで手を入れるかを決めています。使い方が分かっていれば、力を入れる場所も自然と決まってきます。
座面にものを置く、という使い方が重なります
荷室が埋まっているとき、あるいは荷室まで回り込むのが面倒なとき、後席のドアを開けて座面に荷物を置くという形になることがあります。買ったものの袋、背負っていたもの、上着、書類の類い。荷室ほど積むわけではなくても、人が座る面にものが直接触れるという点では同じことが起きています。
座面は人が座るための面なので、当然、体重を受けて沈みます。そこにものが置かれると、荷物の底面と座面が接した状態で圧がかかります。袋の底が湿っていたり、金具が付いていたりすれば、その一点に条件が集まります。人が座る面と荷物が触れる面を分けて管理するのは、日常の使い方の中では難しいところです。
だからこそ、あらかじめ両方を想定して保護をかけておく、という考え方になります。人だけが座る前提でも、荷物だけを載せる前提でもなく、どちらも通る面として扱う、ということです。今回のマカンでも、後席は人の席として仕上げつつ、ものが触れる面としても見ています。
袋やケースの底は、意外と汚れています
荷物そのものはきれいに見えても、底面は床や地面に置かれてきた面です。買い物袋であれば店の床、道具のケースであれば作業した場所。その面がそのままシートに触れます。上から見て汚れていないから大丈夫、とは言いにくいところです。
同じことは、後席に置いた鞄や上着にも当てはまります。持ち込まれるものの側の状態までは管理しきれませんから、受け止める側のシートを整えておくという順序になります。
乗り降りに高さがあるぶん、サイドに体が当たります
SUVは着座位置が高く、乗り込むときに一度体を持ち上げる動きになります。降りるときはその逆で、少し落とすように足を下ろします。このとき、体や衣類はシートの側面をなぞるように通ります。ズボンの後ろポケット、上着の裾、金具やファスナー、鞄の角。座面の外側の縁と、サイドの立ち上がりは、こうしたものが最も通る場所になります。
後席では、ここに荷物の出入りも重なります。人が乗り降りする同じ開口部から、荷物も出し入れされるためです。後ろのドアを開けてものを置く、抱えて乗り込む、腕を伸ばして奥に押し込む——いずれの動きでも、通り道はサイドの縁です。
座面の中央は目につきやすく、状態の変化も分かりやすい場所です。ただ、実際に接触の回数が積み上がるのは外側の縁のほうで、しかもそこは体の重みが乗った状態で擦れます。今回の確認でも、中央と縁を別々に見て、それぞれの状態を押さえてから作業に入りました。
チャイルドシートや荷物を後席に固定して使う場合も、通り道はやはり同じ開口部です。取り付けや取り外しのたびに、腕と荷物が縁を通ります。使い方として避けようのない動きですので、これも前提として数えたうえで、どこを保護するかを考えます。
今回の施工——シートに限って、通る面から順に
作業は下地のクリーニングから始めます。Starex専用のクリーナーでシートの汚れを落とし、面を整えます。ここで落ちていないものが残ると、そのうえに保護をかけることになるため、この工程に時間をかけます。
面が整ったら、シートの素材に合わせた専用剤を選び、Starex水性シートコーティングを均一に塗布します。今回はレザーシートですので、レザー用の専用剤を使いました。塗り残しやムラが出ないように、面ごとに区切って進めます。後席については、これまで見てきた背もたれの裏側、座面の外側の縁、合わせ目といった「通る面」を落とさないように順序を組みました。
塗布のあとは乾燥の時間をとり、最後に全体を確認してお引き渡しとなります。狙いは、荷物や衣類が触れたときに汚れがそのまま素材の奥へ入り込みにくくなること、そして日常の手入れで戻しやすい状態にしておくことです。触れないようにする施工ではなく、触れる前提で状態を保ちやすくする、という考え方です。
なお当店がシートに対して行うのはこの保護施工で、扱う範囲はシートに限っています。人と荷物が同じ場所を通る車内では、どこに何が当たるかが使い方によって変わります。普段どう使われているかを伺ったうえで、見る場所と手を入れる順序を決めています。
施工後の付き合い方
施工したあとも、荷物を積む使い方をやめる必要はありません。むしろ、そういう使い方をする車だからこそ保護をかけています。汚れが付いたと気づいたときに早めに拭き取る、という日常の対応がしやすくなることを狙った施工です。
手入れの方法や、どのくらいの間隔で状態を見ておくとよいかは、お車の使い方によって変わります。ご相談いただければ、その車の使われ方に合わせてお伝えします。
よくある質問
Q. 後席と荷室がつながっているSUVですが、シートコーティングはどの範囲に施工できますか。
A. シートの面であれば、座面や背もたれの表側だけでなく、背もたれの裏側や外側の縁も対象として考えられます。荷室のフロアやトリムはシートではありませんので、扱う範囲はシートに限られます。どこまで施工するかは、お車を確認したうえでご相談のうえ決めていきます。
Q. 荷物が当たる後席の背もたれの裏側だけ施工することもできますか。
A. ご希望をお伺いしたうえで、範囲を絞ってのご相談も可能です。ただ、背もたれは前から人が触れ、後ろから荷物が当たる面ですので、実際の使い方を伺うと表側も含めて考えたほうが自然な場合があります。まずは現状を一緒に見ていただくのがよいと思います。
Q. 施工後も後席を倒して荷物を積んで大丈夫でしょうか。
A. 倒して使う前提でご相談いただいて構いません。荷物を積む使い方をするお車だからこそ保護をかけるという考え方です。ただし施工直後は乾燥のための時間が必要ですので、いつから通常どおり使えるかは施工店にご確認ください。
Q. 座面に荷物を直接置いてしまったあとは、どう手入れすればよいですか。
A. 気づいた時点で、乾いた柔らかい布で軽く拭き取っていただくのが基本です。こすらず、まず取り除くという順序です。落ちにくいものが残った場合は、無理に強い薬剤を使う前にご相談ください。素材と状態に応じた手入れの方法をお伝えします。
Q. 見積もりや相談の前に、伝えておいたほうがよいことはありますか。
A. 普段どのように荷物を積んでいるか、後席に人が乗る機会がどのくらいあるか、背もたれを倒して使うかどうか。この三つが分かると、見る場所と手を入れる順序を組みやすくなります。差し支えなければ、当日そのままお話しいただければ十分です。
後席も荷室も使うお車のシート保護について
株式会社ケイゾーインターナショナル(大阪府)
人と荷物が同じ場所を通る車内では、どこに何が当たるかは使い方ごとに違います。普段の積み方や乗り方をお聞かせいただければ、シートのどこから手を入れるかを一緒に整理します。
※ 掲載しているのは実際の施工事例です。施工の可否・範囲・所要時間・料金は、車種と素材の状態、および施工店によって異なります。詳細は施工店へお問い合わせください。
