きめ細かくやわらかなラムレザーの生地

ラムレザーとは|羊革の特徴・牛革との違いと手入れ

ラムレザーとは、生後1年以内の羊(ラム)の皮をなめして作られた革のことです。ただし、きめ細かく柔らかい半面、牛革より薄く、傷・水・摩擦には繊細な革でもあります。この記事では、羊革(シープスキン)との関係、牛革(カウレザー)との違い、ジャケットや車のシートでの使われ方、手入れの基本までを解説します。

まず「ラム・シープ・ゴート・カーフ」の早見表で革の位置づけを整理し、そのうえで牛革との違い、使われる場面、弱点と手入れの順に見ていきます。

この記事のポイント

  • ① ラムレザーは生後1年以内の羊の革。生後1年以上の羊の革はシープスキンと呼び分けられる
  • ② 牛革よりきめ細かく柔らかく軽いが、薄くて強度は控えめ。傷・水・摩擦に繊細
  • ③ ジャケットや手袋など衣料の定番。車の本革シートは牛革が一般的で、ラムの採用はまれ

ラムレザーとは|生後1年以内の羊(ラム)の革

日本皮革産業連合会(JLIA)の「みんなの皮革用語辞典」では、「生後1年以内の羊はラムスキン、生後1年以上経過した羊の革はシープスキンという」と説明されています。つまり、羊革という大きなくくりの中で、子羊(ラム)の革だけを特にラムレザー(ラムスキン)と呼び分けています。同会の「皮革用語辞典」でも、ラムスキンは「12か月齢までの子ヒツジの皮」と定義され、さらに6か月齢までのものは「ベビーラムスキン」と呼ばれます。

若い動物の皮ほどきめが細かいため、ラムレザーは羊革の中でも特に肌理(きめ)が細かく、吸い付くような手触りになります。またJLIAの解説によれば、羊の皮はコラーゲン線維が細く絡み合いが緩いため「軽くて柔軟な革になる」とされ、古くから衣料用や手袋用の革として使われてきました。まずは、混同されやすい代表的な革との違いを早見表で整理します。

革の種類元になる動物質感の傾向主な用途
ラムスキン生後1年以内の羊非常にきめ細かく、柔らかくて軽いジャケットなど衣料、手袋
シープスキン生後1年以上の羊軽くて柔軟。保温性がある衣料、手袋、ブーツ
ゴートスキンヤギ表面に独特の凹凸。やや硬めで摩耗に強い靴、手袋、衣料
カーフスキン生後6か月以内の子牛きめ細かく滑らか。高級革の代表格バッグ、靴、小物

※各革の定義と特徴は、日本皮革産業連合会の皮革用語辞典(ラムスキン/シープスキン/ゴートスキン/カーフスキン各項)の記載をもとにした傾向です。同じ種類の革でも、なめしや仕上げによって質感は変わります。

牛革(カウレザー)との違い|きめ・柔らかさ・薄さ・強度

革製品でもっとも流通しているのは牛革です。ラムレザーと牛革の違いは「きめ細かさ・柔らかさと重さ・厚みと強度・主な用途」の4点で整理すると分かりやすくなります。

比較項目ラムレザー牛革(カウレザー)
きめ細かさ線維が細く、肌理が非常に細かい。吸い付くような手触りラムに比べると銀面(表面)の表情がはっきりしている
柔らかさ・重さ線維の絡み合いが緩く、軽くてしなやか。体に沿いやすいラムより張りがあり、しっかりとした手応えがある
厚み・強度原皮が小さく薄い。線維密度が粗く、傷がつきやすく破れやすい厚みを取りやすく丈夫。摩擦や引っかきに比較的強い
主な用途ジャケットなど衣料、手袋、バッグ靴、バッグ、家具、車の本革シート

表のとおり「質感のラム、強さの牛革」という関係で、どちらが上というものではありません。毎日ハードに使う物や大きな面積が必要な物には牛革が、軽さと着心地が最優先のジャケットにはラムレザーが選ばれやすい、と覚えておくと選び分けに迷いません。なお、牛革でも子牛のカーフスキンはきめ細かさで知られており、「若い動物ほどきめが細かく、成長した動物ほど厚く丈夫」という傾向は、羊と牛に共通しています。

きめの細かい羊革と厚みのある牛革のサンプル比較
ラムレザー(羊革)は牛革よりきめが細かく薄くやわらかい

ラムレザーが使われる場面|衣料の定番と車のシート

ラムレザーの持ち味である軽さと柔らかさがもっとも生きるのは、体に直接まとう衣料です。ライダースジャケットやレザーコート、手袋では、ラムレザーは定番素材のひとつで、日本皮革産業連合会も羊革の主用途として衣料用革・手袋用革を挙げています。海外の高級ブランドのバッグや財布にも、ラムスキンは広く使われています。また羊革には保温効果と湿気を逃がす効果があるとされ、ブーツやムートン(毛付きの羊革)の素材としてもおなじみです。

一方、自動車の本革シートに使われるのは一般に牛革です。自動車メディアでも、本革シートは「牛の革を使ったシート表皮」と説明されています。牛革は1枚から取れる面積が大きく、座面にかかる摩擦にも耐えやすいためで、面積が小さく繊細なラムレザーが車のシート表皮に採用されることはまれです。

車の世界で「柔らかい高級シート革」として名前が挙がるのは、むしろナッパレザーです。ナッパレザーは特定の動物の革ではなく「柔らかく薄めのレザーの総称」とされており、ラムレザーのようなしっとりした手触りを本革シートで実現したものと考えると分かりやすいでしょう。詳しくはナッパレザーとは|本革・セミアニリンとの違いで解説しています。布・合皮・本革といったシート素材の全体像はhttps://www.starex-solutions.jp/archives/14175にまとめています。

もうひとつ、ラムレザーと車の接点として意外に多いのが「座る側」の視点です。ラムレザーのジャケットやコートを着て乗り降りすると、衣類とシートは毎回擦れ合い、濃色の衣類から淡色のシートへ、逆に染色されたシートから淡色の衣類へと、双方向の色移りが起きることがあります。衣類からシートへの色移りの仕組みと落とし方はhttps://www.starex-solutions.jp/archives/13702で詳しく解説しています。

ラムレザーの弱点と手入れの基本

ラムレザーは、きめ細かさと引き換えに「繊細さ」を持つ革です。弱点は大きく次の3つです。

  • :表面が薄くきめ細かいため、爪やアクセサリーの引っかき傷がつきやすく、目立ちやすい
  • :水濡れがシミになりやすい。濡れたまま放置すると硬化や型崩れの原因にもなる
  • 摩擦:バッグの肩ひもやデニムとの擦れなど、繰り返しの摩擦で表面が傷んだり色が移ったりしやすい

ただし、繊細さは裏を返せば「丁寧に扱えば長く楽しめる」ということでもあります。傷や水を完全に避けることはできなくても、日々の小さな手入れで革の状態は大きく変わります。日常の手入れは「乾いた柔らかい布でやさしく乾拭き」が基本です。雨などで濡れたら、こすらずに乾いた布で押さえるように水分を取り、直射日光やドライヤーの熱を避けて陰干しします。保湿用のレザークリームを使う場合は、必ず目立たない場所で試してから薄く伸ばし、製品の取扱説明書やメーカーの案内も確認してください。シミや深い傷ができてしまったときは、無理をせず革製品の専門店に相談するのが安全です。

やってはいけないこと

繊細なラムレザーでは、良かれと思った処置がかえって傷みを進めることがあります。特に次の4つは避けてください。

  • ドライヤーや直射日光での急速乾燥(硬化・縮み・型崩れの原因になる)
  • アルコール類や除光液など強い溶剤での拭き取り(変色・シミにつながりやすい)
  • 防水スプレーやクリーナーを、目立たない場所で試さずにいきなり全体へ使うこと
  • 濡れたまま・汚れたままの放置(シミ・硬化・型崩れが進む)

迷ったときは自己流で手を加えず、製品の取扱説明書を確認したうえで革製品の専門店に相談するのが確実です。

保管にもひと工夫が要ります。ラムレザーのジャケットは薄く柔らかいぶん型崩れしやすいので、厚みのあるハンガーに掛け、ビニールカバーは外して通気性のよい不織布カバーなどで湿気を避けます。ほかの衣類と密着させると摩擦や色移りの原因になるため、少し間隔を空けて掛けるのがおすすめです。

なお、車の本革シート(牛革が中心)の日常の手入れは、素材の性質も手順も衣料とは少し異なります。本革シートの手入れで詳しく解説しています。

繊細な革を汚れから守る|Starex 水性シートコーティング

車のシートに使われるきめ細かい革(ナッパレザーなど)には、皮脂や整髪料、衣類からの色移りといった「毎日の小さな汚れ」が少しずつ蓄積していきます。こうした汚れからシートを守る選択肢のひとつが、当サイトを運営する Starex(スタレックス)の水性シートコーティングです。本革・合皮・ファブリックなどシートの表面に透明な保護層をつくって色移りや皮脂などの汚れからシートを守るもので、素材の質感を損なわないことを目指した設計思想が特徴です。施工できるのは、本部認定の技術講習を受けた認定施工店のみ。革の種類や状態によって施工の適否は異なるため、まずはお近くの認定施工店に事前相談してください。

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Starex 認定施工店・Restore Core 加盟店とも北海道から沖縄まで。施工の可否・料金は車種・素材の状態・施工店によって異なります。

よくある質問

ラムレザーとシープスキン(羊革)の違いは何ですか?

動物の月齢の違いです。日本皮革産業連合会の用語辞典では、生後1年以内の羊の革がラムスキン(ラムレザー)、生後1年以上経過した羊の革がシープスキンと呼び分けられています。広い意味では、どちらも羊革(シープレザー)の仲間で、若いラムの方がきめ細かく柔らかい傾向があります。

車のシートにラムレザーは使われていますか?

一般的ではありません。車の本革シートには面積が大きく丈夫な牛革が使われるのが通例で、繊細で面積の小さいラムレザーの採用はまれです。車で柔らかさを重視した高級シート革としては、ナッパレザーと呼ばれる柔らかく薄めの革が知られています。

ラムレザーのジャケットが雨に濡れたらどうすればいいですか?

できるだけ早く、乾いた柔らかい布でこすらず押さえるように水分を取り、風通しのよい日陰で自然乾燥させてください。ドライヤーや暖房の熱で急いで乾かすと、硬化や型崩れの原因になります。乾いた後にシミが残った場合は、革製品の専門店に相談するのが安全です。

ベビーラムスキンとは何ですか?

日本皮革産業連合会の皮革用語辞典では、ラムスキン(12か月齢までの子ヒツジの皮)のうち、6か月齢までのものがベビーラムスキンと呼ばれています。より若い羊の皮のため、ラムレザーの中でも特にきめが細かく、繊細な素材として扱われます。

【本記事の参考ソース】日本皮革産業連合会「みんなの皮革用語辞典(シープスキン)」(https://dictionary.jlia.or.jp/minnano/detail.php?id=436)/日本皮革産業連合会「皮革用語辞典」ラムスキン(https://dictionary.jlia.or.jp/detail.php?id=1857)・シープスキン(https://dictionary.jlia.or.jp/detail.php?id=798)・カーフスキン(https://dictionary.jlia.or.jp/detail.php?id=372)・ゴートスキン(https://dictionary.jlia.or.jp/detail.php?id=665)/ベストカーWeb「布より革とはかぎらない!? 車のシート『素材』で変わる長短と意外な事実」(https://bestcarweb.jp/feature/197334)/アップル「車のシートの素材の種類はどのようなものがある?」(https://www.applenet.co.jp/guide/supplies/carSeat.html)/古着屋JAM「レザージャケットに使われる代表的な素材の特徴を徹底解説」(https://jamtrading.jp/blogs/jam/12062458/)

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