車のシート素材は、大きく本革・合成皮革(合皮)・ファブリック(布)・スエード調(起毛)の4系統に分けられます。ただし同じ「レザーシート」という呼び名でも本革と合皮では手入れの方法も経年変化も大きく異なり、カタログの表記だけでは区別しにくいのが実情です。この記事では、4系統の違いを早見表で比較したうえで、各素材の要点とカタログの「シート表皮」欄の読み方が分かります。
先に結論となる早見表を置き、そのあとで各系統の要点を短く補足する構成です。急ぐ人は比較表と気になる素材の見出しだけ読めば全体がつかめます。各素材の詳しい解説や手入れの手順は、文中のリンクと記事末の関連記事一覧から個別記事に進めます。
この記事のポイント
- ① 車のシート素材は本革・合成皮革・ファブリック・スエード調の4系統。まず早見表で全体像を把握
- ② 手入れの楽さなら合皮、質感重視なら本革やスエード調、実用性とコストならファブリックが目安
- ③ 「本革シート」でもサイドやドア接触面は合成皮革との併用が多く、カタログの注記の確認が大切
車のシート素材4系統の違い早見表
最初に4系統の特徴を一覧で比較します。同じ系統でも銘柄やグレードによって差はありますが、素材選びやカタログ読みの出発点として、この表の傾向を押さえておくと迷いにくくなります。
| 系統 | 見た目・手触り | 耐久性 | 手入れの手間 | 水・汚れへの強さ | 採用されやすいグレード |
|---|---|---|---|---|---|
| 本革 | 自然なシボとしっとりした質感。高級感がある | 手入れ次第で長く使えるが、乾燥やひび割れに注意 | 大きい(定期的な保湿・保護が前提) | 水分や皮脂が染み込みやすい | 上位グレード・メーカーオプション |
| 合成皮革(合皮) | 本革に近い見た目で表情は均一 | 表面樹脂の経年劣化(剥がれ・ベタつき)が弱点 | 小さい(水拭き中心) | 強い(液体が染み込みにくい) | 中〜上位グレードで採用が拡大 |
| ファブリック(布) | 布らしい温かみ。色柄の幅が広い | 擦れに強く、傷が目立ちにくい | 中くらい(掃除機がけ中心) | 弱い(液体が染み込みシミになりやすい) | 標準〜エントリーグレード |
| スエード調(起毛) | 起毛のマットな質感。滑りにくい | 毛並みの乱れやテカリに注意 | 中〜大(ブラッシングなど専用の手入れ) | 水シミが目立ちやすい | スポーツ系グレード・特別仕様車 |
※表は系統ごとの一般的な傾向です。実際の性能や質感は、銘柄・グレード・仕上げによって異なります。
選び方の目安としては、毎日の掃除を楽にしたいなら合成皮革、飲食や子どもの乗車が多く費用を抑えたいならファブリック、質感や所有感を重視するなら本革やスエード調、というのが大まかな傾向です。どの系統にも長所と弱点があるので、「誰が・どう使う車か」を先に決めてから素材を選ぶと失敗しにくくなります。
ここからは各系統の要点だけを短く整理します。手入れの手順や素材ごとの細かい違いは、それぞれの解説記事で詳しく扱っているので、気になる素材の記事へ進んでください。

本革シート(レザーシート)の要点
本革シートは、動物の皮をなめした天然素材で、自然なシボ(表面の細かい凹凸)としっとりした手触りが持ち味です。使い込むほど風合いが増す一方で、乾燥によるひび割れや、皮脂・衣類の色移りといった汚れには弱く、4系統の中では手入れの手間が最もかかります。多くの車種では上位グレードの装備やメーカーオプションとして設定されます。日常の手入れと保湿の方法は本革シートの手入れの記事で、ナッパレザーやセミアニリンなど革の仕上げによる違いはナッパレザーの解説記事で詳しく説明しています。費用と手間をかけてでも、経年変化まで楽しみたい人向きの素材です。
合成皮革(合皮)シートの要点
合成皮革は、織布・編布・不織布などの基布に合成樹脂の層を重ね、革に似た外観に仕上げた人工の素材です(日本皮革産業連合会「皮革用語辞典」より)。液体が染み込みにくく水拭きで手入れできるため、小さな子どもがいる家庭やペットを乗せる使い方と相性がよい素材です。一方で表面の樹脂は経年で劣化し、剥がれやベタつきが起きることがあります。素材の仕組みと種類は合成皮革(合皮)の解説記事で詳しく扱っています。革らしい見た目と日々の扱いやすさを両立したい人向きです。
ファブリック(布)シートの要点
ファブリックシートは織物・編物の布素材で、標準グレードを中心に幅広い車種で採用されている定番のシート表皮です。通気性があって季節を問わず座り心地が安定し、擦れに強く価格も抑えやすいのが長所です。ただし液体が染み込みやすく、シミやにおいが残りやすい点が弱点です。特徴と手入れのコツはhttps://www.starex-solutions.jp/archives/14174で詳しく解説しています。小さな傷やシートの扱いにあまり神経質になりたくない人向きです。
スエード調(起毛素材)シートの要点
スエード調は表面を起毛させた素材の総称で、車ではアルカンターラやウルトラスエードといった人工の起毛素材が代表例です。滑りにくく体を支えやすいため、スポーツ系グレードや特別仕様車のシートに使われることが多い素材です。マットで上質な質感が魅力ですが、毛並みの乱れや水シミが目立ちやすく、ブラッシングを中心とした専用の手入れが必要です。なお、天然皮革を起毛させたヌバックという素材もあり、見た目が似ていても扱い方は異なります。運転中のホールド感や内装の個性を求める人向きです。
カタログ「シート表皮」表記の読み方
自分の車や購入候補の素材を正確に知る一番の近道は、カタログや主要諸元表・装備比較表にある「シート表皮」の欄を見ることです。たとえばトヨタ・プリウスの装備比較表(2023年1月版)では、Zグレードが「合成皮革」、Gが「上級ファブリック」、Uが「ファブリック」と、同じ車でもグレードごとに素材がはっきり書き分けられています。
注意したいのは、「本革」と書かれていても、体が触れる主要部が本革で、シートサイドや背面などは合成皮革という構成が多く見られる点です。実際、トヨタ・ハリアーの装備比較表(2020年6月版)には「本革シートのシートサイドとシートバックの一部に合成皮革を使用しています。」という欄外注記があり、シート表皮欄の「本革」がシート全面を指すとは限らないことが分かります。本革の使用範囲は、こうした注記まで読んで確認しましょう。
「パンチング」「コンビネーション」など加工・組み合わせの表記
素材名に添えて、加工や組み合わせを示す語が付くこともあります。「パンチング」は表皮に小さな穴を並べた加工のことで、シートヒーターやシートベンチレーション付きの席の表記でよく見かけます。「ファブリック&合成皮革コンビネーション」のような「〇〇&〇〇」「〇〇コンビネーション」は、部位ごとに素材を使い分けた組み合わせ表皮を示す表記です(トヨタ・カムリ特別仕様車の公式資料にも同様の表記例があります)。素材名の前後の語まで含めて読むと、シートの仕様をより正確につかめます。
- 「シート表皮」欄をグレード横並びで見比べる(同じ車でも素材が違う)
- 「本革」表記は欄外注記まで確認する(主要部のみ本革の場合が多い)
- 「レザー」「〇〇調」などの語は合皮を指している場合がある
- 「上級ファブリック」などメーカー独自の呼称は、系統としてはファブリックに含まれる
中古車などでカタログが手元になく、見た目だけでは判断がつかないときは、本革と合皮の見分け方の記事でチェックポイントを紹介しています。
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よくある質問
本革シートと本革のシートカバーはどっちがいい?
どちらが良いかは予算と目的次第で、一概には言えません。シートカバーは後から取り付けられて費用を抑えやすく、汚れたら外して交換できるのが長所ですが、フィット感や見た目の仕上がりは製品によって差があり、サイドエアバッグ内蔵シートでは対応品かどうかの確認が必要です。純正の本革シートは車と一体で設計された座り心地と質感が長所である一方、価格が高く、日常の手入れの手間もかかります。「元のシートを守りたいのか、質感を変えたいのか」を軸に選ぶと判断しやすくなります。
本革(レザー)の種類にはどんなものがある?
車のシートで使われる本革は、表面の仕上げ方によって呼び名が変わります。柔らかさで知られるナッパレザー、革本来の表情を活かしたセミアニリンやアニリン仕上げ、顔料でしっかり塗装した一般的な本革、表面を起毛させたヌバックなどが代表例です。同じ本革でも仕上げによって手触りや汚れへの強さが変わるため、詳しくはナッパレザーの記事を参考にしてください。
「レザーシート」と「本革シート」は同じ意味?
必ずしも同じではありません。レザーは本来「革」の意味ですが、車の世界では合成皮革を含む広い意味で「レザーシート」と呼ばれることがあり、「レザー調」「〇〇レザー」という名前の合皮も存在します。素材を正確に知りたいときは、カタログの「シート表皮」欄で「本革」か「合成皮革」かを確認するのが確実です。
シートの素材によって保護の方法は違う?
日々の手入れの方法は素材ごとに違いますが、「汚れたら早めに拭き取る」という基本はどの系統にも共通です。そのうえで、汚れがつく前に先回りして守る選択肢の一つに、Starex(スタレックス)の水性シートコーティングがあります。この記事で見てきた本革・合皮・ファブリックといった系統の違いをまたいで、シートの表面に透明な保護層をつくる仕組みで、守る対象は色移りや皮脂・汚れなどです。設計思想として素材の質感を損なわないことを目指しており、施工できるのは本部認定の技術講習を受けた認定施工店だけです。なお、アルカンターラなどの起毛素材は素材によって適否が異なるため、事前に認定施工店へ相談してください。
素材別ガイド・関連記事一覧
この記事は車のシート素材の入口となるまとめです。ここから各素材の詳しい解説と、手入れ・トラブル対処の記事に進めます。
- 本革系:本革シートの手入れ/ナッパレザーとは/https://www.starex-solutions.jp/archives/14176
- 合皮系:合成皮革(合皮)とは/合皮の剥がれ・ベタつき対策/本革と合皮の見分け方
- 布・起毛系:https://www.starex-solutions.jp/archives/14174/アルカンターラとは/ウルトラスエードとは/ヌバックとは
- 手入れ・トラブル:車のシート掃除・洗浄の手順/汚れ・シミの種類別の落とし方/車内の消臭/https://www.starex-solutions.jp/archives/13702/https://www.starex-solutions.jp/archives/14179
- 保護の考え方:https://www.starex-solutions.jp/archives/14177/https://www.starex-solutions.jp/archives/14178/その他の記事は知識記事ハブへ
【本記事の参考ソース】トヨタ自動車「プリウス グレード別主な標準装備比較表・内外配色一覧表(2023年1月)」https://toyota.jp/pages/contents/carlineup/archive/prius/2023-01/pdf/prius_main_s_202301.pdf / トヨタ自動車「ハリアー グレード別主な標準装備比較表(2020年6月)」https://toyota.jp/pages/contents/carlineup/archive/harrier/2020-06/pdf/harrier_main_s_202006.pdf / トヨタ自動車公式企業サイト「専用シート表皮(ファブリック&合成皮革コンビネーション)」https://global.toyota/jp/download/23842293/ / 日本皮革産業連合会「皮革用語辞典:合成皮革」https://dictionary.jlia.or.jp/detail.php?id=630
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